妹のメモ

お昼休み直前、びっくりすることが起きました。

初診で、初めてお会いした方のはずなのに、猫ちゃんを連れてきた飼い主さんが、私の顔を見るなり、「10年くらい前に、市立病院でお会いしましたよね?」とメモを差し出されました。

メモには、忘れられない懐かしい文字が並んでいました。

6年前に亡くなった妹でした。

自分の住所と名前と電話番号、そして、当院の電話番号が書かれていました。

聞けば、偶然、市立病院の待合室でお隣に座った時に、どちらからともなく声をかけ、動物のお話になり、姉が獣医師で開業しているとのだと話したそうなのです。

自分のプロフィールの下に、「もしもの時のために」と、「動物病院044−333−3949」と書き添えて渡した妹は、どんな気持ちだったのだろう・・・。

10年経って、「もしもの時」がやってきました。その方は机の引き出しから、妹のメモを探して、ここに電話を下さいました。捨てずに忘れずに、ずっとしまって置いて下さったのです。

私と妹を間違えて、声をかけて下さったけど、やっぱり似てるのかな?姉妹だもの。

実は、妹は亡くなっています・・・。事実を伝える瞬間、ぐっと胸にこみ上げるものがありました。

「これ、持ってて下さい。」  妹のメモは、10年経って、温かい思いやりの心のお陰で、私の手元に残りました。

そうだった、こんな字だった・・・。

今夜は、たっぷり懐かしんで、明日、妹の娘に手渡そうと思います。きっと、私以上にびっくりして、喜ぶことでしょう。

妹が縁を結んでくれた猫ちゃんは、きっと元気になるでしょう。

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